人面瘡 金田一耕助版のネタバレ

金田一耕助
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人面瘡は昔から言い伝えられ、
ミステリもので多く取り扱っています。

横溝正史も御多分に漏れず
人面瘡を題材にしたのが、
この作品です。

短編ですが
充実感溢れるものになっていますよ。

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人面瘡 あらすじ

金田一耕助が難事件を解決し
静養のため、
岡山県警の磯川警部と一緒に
眼病に効くという薬師の湯へやって来た。

薬師の湯は岡山県と鳥取県の境にある
寂れた宿屋で、警部の親戚になる。

作中では中秋の名月としか
書かれていないが、
作品が発表された1949年
昭和24年の秋と考えられる。

満月

夜中の1時頃。
金田一は用を足しにトイレに立った。

トイレの窓から
名月に照らされた庭を見ていると、
夢遊状態の美しい女性を見つける。

夢遊病は
危険な行為をしないのを知っていた
金田一はそのまま床に戻っていく。

しばらくすると
宿の若旦那、貞二が慌てた様子で
金田一の隣で寝ている
磯川警部を呼びに来た。

どうやら宿の女中が
カルモチン自殺を図ったらしい。

カルモチンとは睡眠薬のひとつで
過剰摂取で芥川龍之介や
金子みすゞが自殺している。

警部の手当で事なきを得たが
その女中は
「妹を2度も殺してしまった」
と不可解な遺書を残していた。

警部に呼ばれた金田一は
その女中を見てビックリ。

さきほど庭を歩いていた夢遊病の女性、
松代だったのだ。

遺書には
「妹の呪いは腋の下に現れて、
私を責めさいなみます」
と続いていたので確認すると、
松代の右腋の下に
野球ボール大の女の顔がある。

「これは人面瘡とか
いうものじゃありませんかね」
警部が押し殺した声で言う。

「この顔、
妹の由紀子に似ているようです」
これが妹の由紀子の呪いなのか?

金田一耕助

そこへ
由紀子の全裸死体が稚児が淵に
浮かんでいると知らせがきた。

では本当に
松代が妹・由紀子を殺したのか?

松代とは

薬師の湯は古くからの宿屋で
女将のお柳は夫に先立たれ、
一人息子の貞二が戦争にとられても
ひとり切り盛りした。

昭和20年6月。
まだ戦争が盛んだったころ、
空襲で焼け出され、
着の身着のまま疎開してきた松代を
お柳は女中として受け入れた。

松代はよく働き、お柳に気に入られた。
貞二が復員すれば
一緒にさせたいと願うほどだった。

しかし、松代は素性を語らない。
よほど
人に知られたくないことがあるのか、
しつこく聞くと泣き出す始末。

その一点を除けばお柳にとって
申し分のない娘であった。

お柳が心労から脳卒中で倒れ、
麻痺のある体になっても
松代は宿を去らず、
お柳の世話までした。

そこへ貞二がシベリアから復員し、
松代との間に愛情も芽生え、
お柳の願い通りになると思いきや
妹の由紀子が現れる。

「都会は嫌になったから、
ここで女中に雇ってほしい」
と、薬師の湯に住み着いた。
そして松代の素性をしゃべりまくる。

松代は岡山県の
有名な菓子屋の長女で、
神戸の葉山譲治との縁談がまとまり、
由紀子共々預けられていたが

空襲で譲治は死に、
松代は行方不明になっていたのだ。

松代は申し分のない家柄であることを
知ったお柳は喜んだ。

ところが由紀子はとんだくわせ者で
貞二を色仕掛けで籠絡すると、
体の不自由なお柳を蔑ろにし、
宿の主のように振舞いはじめたのだった。

松代の告白

由紀子の検死の結果、
溺死で死亡時間は
昨夜20時半から21時半までの間とされ、
その時間松代は
金田一の座敷に付きっ切りだったので
アリバイは証明される。

松代は金田一たちに
ことの顛末を語りはじめるのだった。

幼い頃から由紀子は
姉の松代のものを横取りする女だった。

姉が持っているのはすべて良く見え、
姉の幸福が妬ましく羨ましかった。
姉の松代もなぜか
妹に対し罪悪感があり、
由紀子のいうことをきいてやっていた。

許婚の葉山譲治を由紀子に寝取られ、
大空襲の夜、
松代は夢遊病の発作を起こした。

気がつくと譲治と由紀子は血まみれで
松代は包丁を手にしていた。

恐ろしくなった松代はその場から逃げ、
あちこちを放浪したあげく
お柳に拾われた。

空襲で証拠が焼けても、
自分は譲治を殺した罪深い人間なのだ、
と懺悔する。

あの夜の真実

そこへ
障子越しに話を聞いていた宿の客で、
右の頬にひどい火傷のある
田代啓吉という男が割り込んできた。

田代は由紀子と体の関係があり、
薬師の湯まで追ってきたようだ。

田代が言うには空襲があったあの夜、
由紀子は無理心中を図り譲治を殺した。

譲治との関係が親たちにばれてしまい、
自分一人が引き戻され
譲治が姉のものになるのが
許せなかったのだという。

そこへ都合よく
夢遊状態の松代が現れたので、
由紀子は包丁を握らせ
「ねえさんがやった」
と罪をなすりつけたがその直後、
空襲でみんな焼けてしまったのだ。

由紀子というのは
なんと恐ろしい女であったか。

そばで一緒に話を聞いていたお柳が
「松代はやっぱり
私の思うていたとおりの娘じゃ…」
と、倒れてしまった。

人面瘡 ネタバレ


この先はネタバレになっています。

お柳は数日昏睡状態に陥り、
意識が戻っても話すことができず
目を動かせるだけだった。

その動きに金田一が気づき
目で合図するよう仕向けた。

するとお柳の視線は押し入れの方に。

貞二が押し入れの中を見ると
まだ見つかっていなかった
由紀子の着物が出てきた。

次に
お柳の視線は部屋の隅にある耳盥みみだらいへ。

耳盥

金田一はハッとする。
「由紀ちゃんを殺したのは
自分だとおっしゃりたいのですか。」
なんとお柳は
満足そうにまばたきをするではないか。

金田一の推理によると、
以前から眼を患っていた由紀子が
耳盥に顔を漬け目を洗っているところに
お柳が身体ごと圧し掛かった。

これだと体の不自由なお柳でも
溺死という犯行が可能である。

そして着物を剥ぎ、
部屋の窓の下の川に落とす。
川は稚児が淵まで続いているから
死体を運ぶ必要はなかったのだ。

お柳はその晩亡くなった。
金田一によってすべて語られ
心残りはなかったであろう。

人面瘡とは

薬師の湯を去る際、
金田一耕助は
松代に病院を紹介している。

体の中に吸収された
双子の片割れの一部が出てきた
という症例があり、
妹に対する罪悪感も
そこからきているのではないだろうかと。

松代はすぐに切開手術を受け、
金田一の予想どおりで、
摘出されたものを手厚く供養したそうだ。

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人面瘡のドラマ

この人面瘡は2003年に
TBS系列でドラマ化されています。

ドラマ化でキャストや
ストーリーが変更されていて
由紀子が疎まれる要素が
薄くなっていますね。

淡路恵子
お柳…淡路恵子

 

倉田てつを
貞二…倉田てつを

 

斉藤由貴
松代…斉藤由貴

 

三原じゅん子
ドラマ版オリジナルキャストですが
右手前の女性、誰だかわかります?
今は国会議員ですよ。

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