横溝正史原作「黒猫亭事件」のトリックが秀逸!

古谷一行
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横溝正史原作の
「黒猫亭事件」は短編ですが、
かなり読み応えのある
作品になっています。

どんなトリックが隠されているのか
推理するのもおもしろいですね。

後半にネタバレがありますので、
未見の方は注意してください。

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黒猫亭事件のあらすじ

昭和22年3月20日深夜。

バー

戦災を免れた町の一角にある
バー黒猫の裏庭で
男が土を掘りおこしていた。

巡回中の長谷川巡査が見ると、
そこには腐乱し顔がわからない
女の死体があった。

男は黒猫の裏にある
蓮華院の坊主、日兆

ニ、三日前犬が落ち葉をかき回し
人間の足が見え、
気になって確かめようとした、と言う。

黒猫はお繁というマダムがいたが、
夫の糸島大伍と一緒に一週間前
店を売り払い出て行き、
新しいオーナーのもと改装中だった。

そばにはお繁が飼っていた
黒猫の亡骸が埋めてある。

調べていくと居間の畳や襖には
血痕が残され、
2月27日付けの新聞で隠してあり、
死体も死後3週間とみられることから、
犯行は2月27日から3月初め
と考えられた。

では、死体は誰?
マダムのお繁か?

黒猫の従業員たちによると
お繁は3月になってからドーランでかぶれ
顔を見られたくないから、
と奥の居間に籠り顔を見ていないが、
一週間前出て行くお繁と大伍を
長谷川巡査が見かけている。

死体はお繁ではなかったのかと
思われた時住み込みの女中、
お君が大伍に女がいたと話しだした。

女は桑野鮎子といい、
そのことでお繁と大伍は喧嘩が絶えず、
3月1日に黒猫の店内に
鮎子のパラソルがあったと証言した。

パラソル

 

そしてもうひとり、
大伍と同じ引き揚げ船で帰って来た
小野千代子という女性も浮上してきた。

死体は鮎子か!千代子か!
殺したのはお繁なのか!大伍なのか!

人間関係がややこしくなってきたのに、
お繁にも風間俊六という
情夫がいたことがわかった。

そこへ降ってわいたように大工の為吉
死体が掘り起こされる前日に
現場で焚火をしたが、
人間の足などなかったと申し立てた。

日兆は噓を言ったのか!?

 

黒猫亭事件のトリックは?

本作品の冒頭に金田一耕助と
Yさん(横溝正史と推察される)との
やりとりが描かれ、

この事件はYさん垂涎の
「顔のない屍体」
のトリックだと予想される。

殺されたと思われた人物が
じつは犯人だった、というアレです。

しかしこの黒猫亭事件のトリックは
それだけではなさそうだ。

 

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黒猫亭事件のネタバレ

為吉の申し立てに
日兆は前述を翻した。

日兆が言うには、
2月28日に糸島大伍が
「猫が死んだから埋める」
と庭に穴を掘っていた。

ところがその後死んだはずの黒猫が
啼いているのを見かけた。

黒猫
マスターに噓をつかれたと思った。

なぜ嘘をついた?
あの穴に何を埋めた?

激しい胸騒ぎを感じていると、
奥の居間から便所に行くお繁の姿が…

後ろ姿

いや、違う!
お繁の着物を着た
日兆の知らない女だったのだ。

だから居ても立ってもいられなくなり
穴を掘り返した、と供述した。

ここにきて
死体はマダムのお繁と推測され、
犯人は糸島大伍と
その情婦鮎子とされ指名手配されたのだ。

 

この新聞を見た風間俊六は
すぐさま中学の同窓である
金田一耕助の元へ駆けつけるのだった。

ここにきて
名探偵金田一耕助の出番である。

 


!この先はネタバレになっています!

 

金田一耕助が
「糸島たちの所へ行こう」と
刑事たちを案内したのは蓮華院の墓地。

うず高い落ち葉の下から
糸島の遺体が出てきた。

糸島は犯人のひとりだと考えていた
刑事たちはこれに仰天する。

 

じつは金田一は風間から
警察の知らない情報を得ていた。

マダムのお繁は10年前、
夫を毒殺し中国へ高飛びした
松田花子なのだ。

その弱みにつけこんだ糸島大伍が
寄生虫のように夫婦然とし、
なんとしても糸島の口を
塞ぎたかったお繁が
今回の事件を起こしたのだった。

鮎子という情婦とのもつれによる
犯行にみせかけ、
自分を殺されたことにして
糸島に罪を擦り付け殺す。

糸島はお繁の思惑を
知らなかったようで、
共犯は日兆のほうであった。

2月28日、
小野千代子を呼び出し殺害し、
猫の血で現場をごまかした。

そのあと鮎子になりすまし、居間に籠る。

そうお繁と鮎子は同一人物、
一人二役だったのだ。

さも鮎子が実在するかのように
お君を利用した計画的犯罪だ。

3月14日、店を立ち退いた糸島を
蓮華院まで誘い込み殺害する。

そして3月20日、
日兆は千代子の遺体を
掘り起こしたのではなく、
埋めようとしていたのだ。

金田一によって
鮎子の正体をばらされたお繁は
拳銃で自殺する。

残された日兆は発作を起こし
正気を失ってしまう。

 

まとめ

この作品は
「顔のない屍体」
「一人二役」
のトリックが使われていました。

その他に動機は
痴情のもつれではなく犯罪隠ぺいであり、
共犯者も夫ではなかった、
とじつにおもしろかったです。

ぜひ、
原作を読むことをおすすめしますよ。

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